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上場株式等の譲渡や配当に関する申告上の注意点

今回は、個人の方が行う上場株式等の譲渡(売却)や配当の申告上の注意点についてご案内いたします。
(※NISA口座での取引については、本コラムでは省略いたします。)
株式投資は身近な資産運用の一つですが、口座の種類や申告方法の選択によって税金や社会保険料に影響が出る場合があります。
特に確定申告を行うかどうかの判断は重要です。

1.上場株式等の譲渡に対する税務上の取扱い
上場株式等(金融商品取引所に上場されている株式や投資信託など)を売却して利益が出た場合、その利益(譲渡所得)に対して税金がかかります。

(1)口座の種類
証券会社で口座を開設する際、次の3種類から選択します。
① 特定口座(源泉徴収あり)
② 特定口座(源泉徴収なし)
③ 一般口座

 イ 特定口座(源泉徴収あり)
 ・証券会社が年間の損益を計算(年間取引報告書を発行)
 ・税金(所得税・住民税)を自動で差し引き
 ・原則として確定申告は不要
  もっとも利用者が多い口座です。
  ただし、他の口座の損失と相殺したい場合などは確定申告が必要になります。
 ロ 特定口座(源泉徴収なし)
 ・証券会社が年間損益を計算(年間取引報告書を発行)
 ・税金は差し引かれない
 ・利益が出た場合は確定申告が必要
 ハ 一般口座
 ・年間損益はすべて自己計算
 ・税金の源泉徴収はなし
 ・利益が出た場合は必ず確定申告
  取得価額の管理なども自己責任となるため、実務上の負担は大きくなります。

(2)税率
上場株式等の譲渡益には「申告分離課税」が適用されます。
税率は次のとおりです。
 ・所得税 15.315%(復興特別所得税含む)
 ・住民税 5%
 ・合計 20.315%
給与所得などとは分けて計算されます。

2.上場株式等の配当に対する税務上の取扱い
上場株式等の配当は、支給されるタイミングで(どの口座であっても)源泉徴収がされます。課税方法は次のいずれかを選択できます。
① 確定申告不要制度
② 申告分離課税制度
③ 総合課税

 イ 確定申告不要制度
 ・源泉徴収(20.315%)で課税関係を終了させる方法です。
 ・同じ特定口座内で譲渡損失が生じている場合は、その損失と相殺がなされます。
 ・確定申告をしない選択が可能です。
 ・確定申告をする場合は、申告分離課税制度か総合課税のいずれかを選択することになります。
 ロ 申告分離課税制度
 ・譲渡所得と同様に20.315%で分離して課税されます。
 ・複数の口座があり、他の口座で生じた譲渡損失との損益通算が可能です。
 ハ 総合課税
 ・給与などと合算して課税されます。
 ・配当控除の適用が可能です。
 ・ただし、給与等の所得が多い方は、税率が源泉徴収の税率よりも高くなるため、不利になる場合があります。

3.上場株式等の譲渡損失の取扱い
株式の売却で損失が出た場合、次の制度が適用可能となります。

(1)損益通算
上場株式等の譲渡損失は、次のものと相殺ができます。
 ・他の口座で生じた上場株式等の譲渡所得
 ・上場株式等の配当(申告分離課税を選択した場合)

(2)繰越控除
損失が控除しきれなかった場合、翌年以後3年間繰り越すことが可能です。
ただし、繰越控除を受けるためには、損失が出た年から連続して確定申告が必要です。
ここは実務上の重要ポイントです。

4.確定申告をした場合の社会保険等への影響
株式の譲渡所得や配当所得を確定申告した場合、次のような影響が出ることがあります。
① 国民健康保険料が増加する可能性(国民健康保険ではなく、健康保険に加入されている場合は、問題ございません。)
② 後期高齢者医療保険料が増加する可能性
③ 医療費の自己負担割合への影響(自己負担割合の増加)
上記の内容は、確定申告により提出された情報を参照して計算がなされるため、確定申告の有無により、上記内容の結果が異なることとなります。
そのため、次の事項を総合的に検討する必要がございます。
 ・損益通算のメリット
 ・配当控除のメリット
 ・社会保険料増加の影響

最後に
本コラムの内容は、令和7年12月31日現在の法令に基づいて作成しております。
できるだけ専門用語を使わず、わかりやすい表現でご説明しておりますが、一部、法律上の正確な定義とは表現が異なる場合がありますのでご了承ください。
また、税金の取扱いは、事業内容や取引の形態などによって異なる場合があります。
実際の適用については、必ず個別の検討が必要です。
ご不安がある方は、どうぞお気軽に当事務所までご相談ください。

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