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コラム
令和5年10月1日に始まった「消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)」ですが、制度開始から約1年10か月が経過しました。
対応が一巡した企業・事業者の方も多い一方で、まだ一部では制度の内容が曖昧なまま、業務を続けているケースも見受けられます。
今回は、制度の基本的な仕組みを改めておさらいするとともに、特に重要なポイントである「経過措置の変更」についてご案内いたします。
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1 インボイス制度とは?
消費税の仕入税額控除を行う際、これまでは一定の条件を満たした領収書や請求書等の保存があれば控除が認められていました。
しかし、インボイス制度が導入された現在は、仕入税額控除を受けるために「インボイス(適格請求書)」の保存が必要となっています。
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【簡易的な仕組みの比較】
◎旧制度(インボイス制度導入前)
1 売上等で預かった消費税:100円
2 仕入等で支払った消費税:30円
3 納税額:70円(1-2)
◎インボイス制度導入後(インボイスが一部しかない場合)
4 売上等で預かった消費税:100円
5 仕入等で支払った消費税:30円
6 5のうちインボイスのある分:10円
7 納税額:90円(4-6 )
※インボイスのない仕入等については、原則として控除ができません。
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2 経過措置に要注意!
インボイス制度導入にあたり、インボイスがない場合でも一定割合で控除を認める経過措置が設けられています。
しかしこの経過措置には期限があり、段階的に控除できる割合が引き下げられていきます。
適用期間 控除できる割合(インボイスのない部分)
令和5年10月1日〜令和8年9月30日:80%
令和8年10月1日〜令和11年9月30日:50%
令和11年10月1日以降:0%
現在は「80%控除」が認められていますが、令和8年(2026年)10月からは控除できる割合が「50%」に減少します。
たとえば、インボイスのない仕入れで支払った消費税が20円あった場合、今はそのうち16円を控除できますが、令和8年10月以降は10円しか控除できなくなります。
納税額にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、インボイスの整備や仕入先への確認を今のうちから進めておくことが大切です。
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■ 最後に
本コラムの内容は、令和7年1月1日現在の法令に基づいて作成しております。
できるだけ専門用語を避け、平易な言葉でご説明しておりますが、一部表現が法律上
の定義と異なる場合があることをご了承ください。
また、消費税の取扱いは事業の内容や取引形態によって異なる場合があり、法律上
の適用関係については個別の検討が必要です。
制度への対応に不安をお持ちの方は、お気軽に当事務所までご相談ください。